「ノ、ノゾミさん、高校生と付き合ってんの?」

小声で聞いた。

ノゾミさんが耳まで赤くなった。

「ち、違いますよ!」

「じゃあ……」

ノゾミさんが困惑顔で説明を始めた。

「実は先月、アキバのBLショップのレジで彼が僕の後ろに並んでて」

「うんうん」

私はすっかり取材モードだった。

「偶然、同じコミックス買ってて……。向こうが『この作家さんについて熱く語りませんか』って言うから、うっかり一緒に喫茶店、行っちゃったんです」

「それで?」

「それで? って、それだけなんですけど、それ以来ずっと付きまとわれて、困ってるんです」

ノゾミさんが溜め息をついた。