画廊へとハンドルをきりながら、タケルが続けた。

「夜の公園で理沙に拾われた時、ちょうど翔子のことで落ち込んでて……」

病室で眠り続けていたタケルの奥さん。

月明かりの中で表情もなくブランコを揺らしていたタケルを思い出す。

「本当はあの時、理沙にすがって泣きたかった。誰にも頼らずに生きてきた自分がそんな風になるなんて、意外だったけど」

それまで自分勝手に生きてきた彼が受けた罰は、側で見ていて息が詰まるぐらい辛いものだった。

「理沙が俺のためにヤクザからケータイ取り返して来てくれたとき、完全にヤラれた」

聞いていてジワッときた。