「美穂さん。ちょっと付き合っていただける?」

助手席の窓を下ろした藤山が言った。

ハンドルを握っているヒロトは、伏せた目を所在なく泳がせてるだけ。

あたしの心変わりを察して動揺してるのか、それともママに言いつけたことを後悔しはじめているのか。

何にしても、もう魅力の欠片もない男。

あたしは腹をくくった。

「わかりました」