あたしは一人、画廊の前の歩道に取り残された。

―――何なのよ、いったい。

理沙は腐女子の風上にも置けないような甘い声で
『待って〜』
とか言いながら、萩野を追いかけて行った。

恩知らずの可奈子は、あたしのことを振り返りもしないで、自分を捨てた男について行った。

みんなどうかしてる。

ムカついてるところに見覚えのあるアルファロメオ……。

―――し、しまった……。ヒロトだ。

しかも藤山同伴。

―――ううわ。泣きっ面に蜂だ。

かといって、今さら逃げるわけにもいかない。