うつむいてボロボロ涙をこぼしている私の薬指に、タケルがリングをはめてくれている。

『私、タケルが好き』

素っ気ないけど。

意地悪だけど。

優しいこと言ってくれないけど……。

―――大好き。

感慨に浸っている私の顔をタケルが一瞥した。

―――ん?

彼は指輪を私の薬指に押し込みながら、
「理沙ぶー、また太った?」
と、聞いてきた。

どうやら入らないらしい。

「う、嘘……」

青ざめる私の指からタケルがリングを取り上げた。

「このサイズに戻るまで、おあずけだな」

そのままクルリと背中を向けてギャラリーへと戻り始める。

「ま、待って! 絶対、入る! いや、入れてみせるから!」

私は必死で追いすがった。

「やめとけ。血流が止まって指が腐る」

タケルはサッサと画廊の中へ戻ってしまった。

「ま、待って〜!」