次の日、私は熱を出した。

病院で『風邪ですね』と言われ、おなかの赤ちゃんに影響のない弱めの風邪薬を処方された。

タケルは昼間、ずっと部屋に居て、たびたび額の冷却シートを取り替えてくれた。

が、夕方、ギャラリーに行く時間になっても、私の熱は下がらなかった。

ヴェルサーチのスーツに着替えたタケルは
「寝とけ。和田さんには言っとくから」
と言って出掛けた。

さすがに仕事を休んではくれない。

私は心細くなって、ノゾミさんにメールした。

『風邪ひいてダウンしちゃいました。(;_;)』

そのメールから一時間もしない内に、玄関のベルが鳴った。