「女性に選ばれたがるのは、ホストの習性ってヤツでしょうか。俺たちは店の入り口に飾られた写真から、品定めされ始めるから」


悠斗は爽やかに笑った。

「勝負はついた。さぁ、行きましたょうか」

悠斗がサングラスをかけ、立ち上がろうとした。

「悠斗さん。さっきの答え、教えて」

「答え?」

「どうしてタケルが本気だって思うのか」

悠斗は『ああ』と、軽く笑った。

「パーティーの時、タケルさん見てて思ったんです。『この人、ほんとはまだホストやりたいんだな』って。店だって、あの人に戻って欲しがってる。それでもタケルさんが歌舞伎町に戻らない理由はあなたしかないでしょ」

「それは多分、私のためじゃなくて、産まれてくる赤ちゃんのためだと思う」

「子供が父親の職業を気にするようになるまで、五年は猶予がある。逆に言えば、あと五年しかないのに復帰しないのは、やっぱり理沙さんのためだと思います」

それが真実なのかどうか、私にはわからなかった。

ただ、それが本当だったらいいのに、と思った。