「あり得ない。それなら、なんで悠斗さんとのデート、認めちゃうわけ?」

悠斗は美しい唇の端を左右に引くようにして笑った。

「もちろん、元ナンバーワンのプライドがあって、俺との勝負から逃げるわけにいかなかったというのもあると思います。けど、多分、それだけじゃない」

「他に何が……」

「あなたに選んで欲しかったんじゃないですか?」

「私が選ぶ?」

「あなたは誰かを選ぶ前に妊娠して結婚してしまったから」

―――私がタケルを選ぶ……。

考えたこともなかった。

それってノゾミさんがシュン君に対して思ってるのと同じこと……。