着替えて会社のタクシー乗り場へ向かった。

どこかでヒロトが待っているような気がして、ついキョロキョロしている。

今ここで会ってしまったら、後先考えずに暴言を吐いてしまいそうだった。

『このマザコン野郎! ママとヤッてな!』

上品なヒロトは卒倒するに違いない。

あたしはそそくさとタクシーに乗った。

「目白……」

運転手に自宅の住所を言いかけて、ふと考え直した。

何となく画廊へ行きたかった。

「……じゃなくて、六本木へ行ってください」