あたしと抱き合っていたヒロトは、すぐ横で仁王立ちになっている頭の薄い男を見て固まった。

「み、美穂さん。こ、この人、誰?」

ヒロトはあたしと尚道を見比べるようにして聞いてきた。

「知らない。行こ、ヒロト」

ヒロトの手を掴んで歩き出そうとした瞬間、ぱちん、と頬に衝撃が走った。

自慢の顔を叩かれ、カッとなった。

「何すんのよ!」

あたしは尚道のなけなしの前髪を掴んで引っ張った。

「イタッ」

尚道はヘアスタイルが乱れ、いつにも増してミジンコそっくり。