悠斗はその時のことを思い出すように、しばらく黙り込んでいた。

が、やがて重い口を開くように再び話し始めた。

「その頃、俺、枕とかやってて……」

『枕』というのは客をつなぎとめたり、自分の贔屓にするために客と寝ることだと聞いたことがある。

そういう手段を使うホストを業界では『枕ホスト』と言って蔑むらしい。

「俺、自分のことが全然わかってなかったんです。外見だけでナンバーワンになれると思ってた。クラブの中で『一番のルックス』って言われる俺が、なんでまだヘルプなんだろうって。焦ってたんです」

自信の塊のように見える悠斗からこんな告白をされるなんて、思ってもみなかった。

軽々しく相槌を打つことが出来なかった。