ちらっと悠斗の顔を見た。

同じようにこっちを見る彼の瞳が潤んでいるように見える。

「別れて二年になります。理沙さん見た時、可奈子かと思った……」

苦しそうに打ち明ける悠斗の声が胸に迫る。

「どうして……別れちゃったの? お客さんとしてじゃなく好きだったんでしょ? その人のこと」

悠斗は自嘲するように笑った。

「別れるつもりなんてありませんでした。けど、可奈子の両親に俺たちのことがバレて……」

「無理やり別れさせられたの?」

悠斗が首を振った。

「それでも、駆け落ちするつもりでした」

「うそ……」

「けど、前日、彼女のお母さんが訪ねてきて……。泣きながら
『あの子の将来をダメにしないで下さい』
『あの子は、あなたのような人と生きるということがどういうことなのかわかってないんです』
『あの子のために別れてやってください』
って言われました」