ヒロトのマザコンぶりにげんなりしながらカートを押し、ミールのトレーを集めた。

その時、藤山がハンカチでヒロトの唇についたソースをぬぐっているのを目撃した。

ヒロトは幼稚園児のようにじっとして、藤山のなすがままになっている。

―――ムリッ!

あたしはその光景から顔をそむけた。

ギャレーに駆け込み、どうやってヒロトとのゴールインを回避するか、そればかり考えていた。


目の前では可奈子が往路と同じグラタンをつついていた。