エクスタシー 2 〜極貧のオンナ?〜

『これでもう思い残すことはない』

『一生、ヒロトを支えてやってね』

藤山にさんざんプレッシャーをかけられた。

自分が離婚してしまったことで、ヒロトに寂しい思いをさせたという負い目があるのだろうか。

恐ろしく粘着力のある溺愛ぶり。

ますますヒロトへの気持ちが冷めてきた。

「あ。チーフ。私、そろそろミーティングが……」

「そうね。じゃ、また後で」

―――はい?

「ま、また後でって……」

「私もヒロトも、あなたが乗務する帰国便で日本へ帰ることにしたから」

―――ひーっ……。

わざわざ息子に会ってプロポーズの首尾を確認するために香港まで来たんだろうか……。


ヒロトへの気持ちは冷えているのに、どんどん追い詰められていくのを感じた。