萩野が慣れた手つきでドレスのジッパーを上げてくれた。

その上、乱れた後ろ髪を手櫛で整えてくれている。

口は悪いくせに、ホストの習性だけは未だに身についているらしい。

がちゃり。

千客万来……。

理沙と尚道が入り口の所に立ちつくしている。

二人ともあんぐりと口を開け、あたしの髪を撫でる萩野を見ていた。

あたしはハッとして妹の夫から離れた。

が、これは逆効果だったらしい。

理沙は泣き顔になり、尚道はあたしたちを非難するような顔になった。