「二人っきりでドイツの大聖堂で式を挙げて、披露宴は東京のホテルって言うのでどうかな?」

それももう藤山に相談済みなんだろうか……。

何だか素直に喜べない。

「ちょ、ちょっとだけ考えさせて」

やっぱりイイ顔してしまう。

けど、この『ぶりっ子』もそう長くはもたないだろう。

あたしはふと思い出したような顔をして時計を見た。

「あ。いけない。私、後輩の沢井さんと約束してたんだった」

慌てて立ち上がると、ヒロトが
「え? もういいの? 朝食……」
と、テーブルの上のフルーツやデザートに目をやった。