「かんぱーい」

香港の夜景を独り占めにしているようなゴージャスな部屋で、あたしはヒロトと祝杯をあげた。

繊細なシャンパングラスをカチンと合わせた時、理沙からのメールを受け取った。

『お姉ちゃん。実は今、ノゾミさんのトコにいます。日清焼きソバ、買えませんでした。ごめんなさい』

―――ちっちゃい……。なんて、ちっちゃい話なの。

自分で頼んだこととは言え、げんなりする。

『もう、いらない』

送信。