それから一時間。

ずっと、悠斗の隣りに座り、甘い言葉を聴いていた。

真剣な声で誉め言葉を囁き続けられていると、自分が『イケてる美人』になったような錯覚に陥りそうになる。

「じゃあ、明日」

別れ際、悠斗が頬にキスしてきた。

「あ……っ……」

―――セ、セフィロス様の唇……。

顔を熱くし、背中に冷や汗をかきながら見たタケルは、現役ホストたちの失敗談に笑い転げている。

私のことなどどうでもいいのか、悠斗なんかに負けないというよほどの自信があるのか。

多分、前者だ……。

自棄になってしまいそうだった。