私は慌てて個室の中に入り、ペンダントに喋りかけた。

「秀!・・・秀なの?」

震える声で、秀の名を呼ぶ。


『琴美…オレだよ、秀だ』

「・・・秀」

相変わらず震えた声で、秀の名を呼んだ。


『今、病院にいるんだろう?』

途切れ途切れに聞こえる声をしっかり聞き取り返事をした。


「・・うん、何で、わかったの?」

『それ‥発信機と・・連絡用に改造した物なんだ』

「?!」



『後5分、その中にいろ・・・それだけ待ってくれれば、

病院はすべて包囲できる。人選もしっかりしたから、もう、

博人の助けはいない・・・病院にも、協力してもらって、

数人の捜査官を中に入れてる…オレもすぐに行くから』


「うん・・」

突然の事に、頭がついて行かない。でも、これは確かに秀の声だし、

言ってる事も理解できる。

私は秀の言う通り、5分ほどトイレの中にこもり、

そして5分後、トイレから、待合室に向かった。


「待たせてごめんなさい」

「…いや、行こうか」

私の言葉に、博人は笑顔でそう言った。