病院を出て、紹介された産婦人科を目指した。

・・・そこに着いても、私たちに、会話はない。

「診察室へは、一人で入ってもいい?」

…少し、困惑顔で問いかける。

婦人科の中は、男の人と入りたくない。


「…どうぞ、待合室で待ってますから」

怒る事もなく、博人はそう言った。


…診察室の中。

エコー写真でお腹を見て見る・・・

テレビ画面に映ったのは、まだ黒い袋の中にある、

小さな小さな点のような我が子。

今は一人、私は涙を流した。

秀、貴方にこの事を伝えたい。

…結、貴女は、お姉ちゃんになるのよ。

伝えたいのに伝えられないもどかしさ・・・


「今はまだ6週目です。安定期までは程遠いですから、

くれぐれも、無理はしないでくださいね」

先生に言われ、頷き、次の診察の予約をして、

私は待合室に出た。

…ぁれ?

待合室にいるはずの、博人の姿がない。

…私はそれを良い事に、待合室の隅から電話をしようとした。

・・・が、博人が帰ってきてしまい、

それをすることは叶わなかった。