透side






「離して。」






実華が俺を冷たい目で見てくる。





初めてみた、こんな実華の目。





俺は思わず、握っていた実華の手を離してしまった。





俺の手が離れると、また歩き出した実華。





「待ってくれ。」





「お願いだ、待ってくれ!!」






俺はそう訴えるが、その声は雨でかき消され実華には聞こえない。