不思議な存在の彼と出会って、数日。

私の毎日は相変わらず

見栄を繕い、流れている。





「ごめんなさいね、もう閉店した後なのに」

「いえ、気になさらないでください。帰り、お気をつけてくださいね」

「ええ、また来るわ」

「ありがとうございました」



閉店時間の22時をとうに過ぎた店内で、薄暗い館内を出て行くお客様へ私は深く頭を下げた。



(…ようやく帰れる)



頭を上げた時には既にそこに誰もおらず、静かな店内で溜息をひとつつく。