「本当ですか!?な、なんで…」
「まぁ、夫婦には色々あるのよ」
「いろいろ…でも店長、何だかすっきりした顔してますね」
「…うん、」
指輪のない、薬指。
久しぶりに言葉にする『澤村』の姓。
それらは少し寂しくもあるけれど、自分が変われた証だから。
「あっ、そういえば昨日あのゲームセンターの男の子来ましたよ」
「?沖くんが?」
「休みだよって伝えたらすごく心配してましたよ。顔、見せに行ってあげたらどうですか?」
「…じゃあ、ちょっと行ってくるね」
錦さんの言葉に私はお店を出て、5階へ向かうべく裏の従業員用通路へと入る。