『隣、いい?』 『あ…はい、どうぞ』 その一言から始まって、結婚まで至った二人。 それを壊したのは、見栄っ張りの自分だった。 「……」 外は冷たい風の吹く冬。 通り過ぎる人々が寒そうに身を縮めながら歩く中、私は今日も背筋を伸ばしカツカツとヒールを鳴らす。 (…寒い) スカートは短いけれど、コートもタイツも着込んでいるから体は暖かい。 唯一凍えそうなほど寒いと感じるのは 心、ひとつ