「……」
ある日の午後の仕事中。
私は壁面のディスプレイを飾るべく、ヒールのまま脚立に乗って壁へと手を伸ばす。
(高い所はあんまり得意じゃないんだけど…)
でも錦さんに頼もうにもあの子は高所恐怖症だし…結果、自分でパパッと済ませてしまおうという結論に至ったのだった。
それでもせめてヒールくらい脱いで脚立に乗ればよかった。けど裸足で脚立乗るのもみっともないし…そう思いながらも足元はグラグラとする。
「すみませーん、レジ…」
「あっ、はい。錦さんお願い…」
急いで降りるわけにもいかず、店内にいる錦さんを探す。が、彼女は電話対応の真っ最中だったらしく、こちらを見て『スミマセン』と頭を下げた。