あたし、佐伯姫芽は“少し”小柄な体格だ。

少し! 誰がなんと言おうと少しだもん……。


「身長140㎝で一番後ろの席は無理があるだろう」

「146です! 四捨五入したら150です!」


この身長のおかげでよくいじられる。

それはあたしにとって不本意でしかない。


「はいはい。じゃあ12行目から読んでください」


早口で指定された部分を読み上げ、乱暴に椅子を引いて座る。


「佐伯、やっぱり前の席のやつとかわってもらった方が……」 

「絶っ対イヤです!」