「お前まだ終わってなかったのか?」


「はい。今日中に片づけないといけない仕事が残ってて…」

「そうか。あんまり遅くなるなよ、物騒だしな」
「はい」



お疲れ様、と言って微笑んでくれる先輩は格好いいけれど、

まるで恋人になる前の関係みたいで少し寂しい。



ここは会社だから、仕方ないのだけれど。


部署を出ていく先輩の背中を見送って、

私は目の前にある仕事に手をつける。