ケチャップのないオムライス【短編】



私たちは流れるままにホテルへ向かい、

お互いを夢中で求め合った。



その時、私の中に罪悪感はなかった。

千春の存在すら、忘れてしまっていた。



「千春と別れようと思うんだ」



何度か千春に内緒で会って彼がそう言ったとき、私は素直に喜べなかった。