ケチャップのないオムライス【短編】



「俺のこと、信じられない?」

彼は私に聞いた。
見たこともない、悲しい目で。


彼のことを、信じられない訳じゃなかった。


だけど彼は慣れた様に私に甘い言葉を囁く。

先程まで、他の誰かにも言っていたかのように。


そんな彼のことを、

私は、


信じられなかったはず、だったのに。