今日の晩御飯のおかずは、私のパート先のお惣菜屋さんで余りをもらってきた

ホウレン草のおひたしと、出汁巻き卵、キスのフライ。

汁物を作るのが面倒だった私は、レジの前のインスタントの豚汁を二つ買った。



帰ると今日も、彼は執筆中。

ただいま、と声をかけると
「おかえり」


いつもは原稿を見たままなのに今日は、ちゃんと私の方を向いて返事をしてくれた。


手抜きだけれど、美味しそうな食卓に二人でつく。



食べ進めているとき、僕…と呟く声が聞こえて一瞬ビクッとなってしまった。


「な、何?」


珍しくキリッとした顔つきで、彼は思いもしない言葉を言った。



「僕、小説家を辞めるよ」