そうと決まれば…
私はドアに向かってダッシュした。
ダッシュしようと思った…。
でも、私の腕は楓くんに掴まれていた。
「は、離してくれるかな?」
楓くんはにっこり笑った。
「逃げたきゃ自分で逃げないと。」
そう、楓くんが言うからとりあえず腕を力一杯引いてみる。
だけど、全くビクともしない。
「は~な~し~て~っ!」
それでも思いっきり引っ張っていると、突然楓くんが私の腕を離した。
………………え?
私は勢いよく後ろに尻もちをついた。
「あ、ごめんごめん。手が滑っちゃって。」
楓くんは悪びれる様子もなくヘラヘラしている。
絶対わざと手、話したんだ。
