「おはよう!」

香代の明るい声で目が少し覚めた。

「…おはよう」
すぐに香代の顔は曇ってしまった。


何その覇気のない声は。と
顔に、いや顔そのものが言い表していた。

親友だからといっても、なかなか言い出せない自分に腹がたった。


禮木と龍佑どっちを好きになるべきか
迷っているんだ。
なんて言える人の顔が観てみたい。

少なくとも今の私にその言葉は使えそうもなかった。

「ちょっと寝不足で」

ごめんなさい、親友で戦友よ。
とてもじゃないけど、香代に軽蔑されたり、嫌なやつって思われるのは立ち直れる自信がない。


「…そっか」

どこか腑に落ちないと言ったところだろう。



いつか香代にも笑って話せる時が来るといいな、そう願っていた。