「おはよう!」
元気な声が私の耳に届いた。
振り向かなくてもわかる、戦友だ。

「おはよう、香代!」
私も負けないくらいの挨拶を返した。

教室に向かう道で
私はふと気になったことを聞いてみた。

「私、禮木のこと怒らせたかも?
なんかメール無視されちゃってー…」
「そっかー。禮木のやつ寝ちゃったんじゃないの?」

寝ちゃった?
そうか!深夜1時もまわってたしそれだ!

「寝ちゃったとかあるんだね」
「あたりまえでしょ!でも夜遅くまでメールなんて禮木のこと好きにでもなった?」

え。違う、そんなんじゃない。
あれ、違くないのかな。
いや、恋なんてしてないと思うよ。
だって禮木だよ?
モテ男のチャラい、女ったらしの禮木に?
私が?

私が無言なのを不思議に思った香代がすかさず私に聞いた。

「え。本当に?」
「全然違うよ!あんなやつ、一番嫌いなタイプ。」
強気でつい思ってもないことを口走っしまった…。

早足で教室に駆け込んで、何もなかったみたいに自席に着いた。