「青団リライアンスに化け物がいる」

入団初日からこんなうわさが他団に流れるほど、彼__九条瑞貴(くじょう みづき)は強かった。

「さすが、僕が見込んだだけあるね」

「……どもっす。」

「そこ、笑うところだよ」

副団長、細谷優城(ほそや ゆうき)は靴を鳴らしながら瑞貴へ近づく。

細谷は少し間を開けて口を開いた。

「これで、もう悔しい思いはしないで済むかな」

疑問なのか肯定なのか計りかねた瑞貴は自分の経験値の無さとボキャブラリーの少なさを悔やんだ。

「多分」

やっと見つけたその言葉を聞くと、細谷は微笑み「行こうか」と促した。