「…和架」

「…!」

この、低い声は


「……瑛太?」


私を後ろから抱き締めていたのは、瑛太だった。

私が名前を呼んだ瞬間、きゅうっ…と抱き締める力が強まった。




しばらくの静寂を破ったのは私だった。

「…何?さっさとあの可愛い女の子のとこに行きなよ」

自分でも、声が震えているのがわかる。

何でこんなこと言っちゃうんだろう?
本当は嬉しくてたまらない筈なのに。
何でこんな時まで強がっちゃうんだろう。

どうして素直になれないの、私。


「やだ」


「はぁ!?『やだ』って…」


「和架のことが好きだから」


「…!」

――…え?

「和架のことが大好きだから、離さない」




……馬鹿。




「馬鹿瑛太あぁ!」

こらえていた何かが、溢れでてきた。

私は泣きながら、正面から瑛太を抱き締め返した。


「だったら私も瑛太のこと、離さない!」

涙が、溢れて止まらない。


「…ばぁーか」

どっちが馬鹿だ。













「「大好きだよ」」