「和架…!?」

瑛太はとても驚いた様子で、わたしたちを見つめる。

わたしは咄嗟に崎田の腕の中から離れた。

「や…ち、違うの。瑛太…」


すると、瑛太は

「…和架、もういいや」

と、微笑んだ。
それは、とても悲しそうな笑顔だった。
…瑛太のこんな表情は、今、初めて見た。

「……え」

突然のそんな一言に、わたしは強い不安感を抱いた。


「和架もそういう風にしたがってたしな。俺も今、やっと決心がついたよ」


意味が、わからない。

「ち、ちょっと待って。それってどういう」


「別れよう」


瑛太は、それだけをポツリと言い残すと、踵を返し「じゃあな」と扉の向こうに消え去った。