「馬鹿っっ」
パチン!と、頬を思いっきり叩く音が、喫茶店の中に鳴り響く。
わたしの彼・如月瑛太は、赤く腫れてしまった頬を押さえながらこちらを睨んだ。
「いってぇな!いきなり何すんだよ!和架!!」
「まだわかんないの!?」
「わかるわけねぇだろ!ただほっぺた叩かれただけで!」
「じゃあ言ってあげる!瑛太さ、昨日知らない女の子と一緒に駅前の雑貨店に入ってったでしょ!?いつもわたしといるときよりも、ずうっと楽しそうに!!」
それを聞いた瑛太の顔色は急に青くなった。
「ち、違う。あれは、そ、その…」
「言い訳無用!!…はぁ、本当呆れるわ」
「だから違うって!俺はただ…」
「うるさい!……わたし、もう帰る。さよーなら…如月くん」
わたしは鞄を肩に掛け、早足で店を出た。
「ちょっ、まっ…和架!!」
その後、後ろから瑛太の声が聞こえたけど、わたしは無視した。


