甘ったるいくらいで


「いってぇ・・・、予想以上・・・。」


セイくんは金具で口を切ったのか、手で拭う。



あたしは、その言葉を無視して、くるりと方向を変え、歩き出した。

もう、関わりたくない。

あたしはシャットダウンすることにした。


「あ・・・ちょっ・・・。」

0,5秒遅れで、セイくんが追いかけてくる。


「ちょっ・・・、待てって。」

彼があたしの腕をつかんだ。

もちろん、あたしはそれを振りほどく。


「触んないでっ!」


人が通り過ぎていく。

あたしたちはなんて迷惑な通行人なんだろう。