甘ったるいくらいで

「何か、言えば?」


その言葉に、あたしはセイくんをにらみつけ、自分の鞄を振りかざした。



――バコッ!


顔面、向かって右に、ばっちりヒット。

彼はよろけて、2、3歩動いた。

自分の中の矛盾は認めるけど、それを今日あった人にいわれる覚えはない。

悔しさを込めた、攻撃だった。

・・・それでも、あたしの口は言葉を発しようとしなかった。



駅の近くの人通りの多い道。

通り過ぎる人々は、けんかしたカップルの修羅場を見るように、じろじろと目線をよこしては、足を止めず去っていく。