甘ったるいくらいで

――ブーッブーッブーッ。


急に、鞄の中の携帯が震えだした。



リカからのメールだった。

『気をつけて帰ってね~。セイくん、マジかっこいいから、ちょっとうらやましいよぉ。なんか話したら、内容教えてよねっ。おやすみ。』


・・・素直に、あたしセイくん狙いだから、手出すなよって言えばいいのに・・・。

釘をさすように送られてきたメールに、あたしは小さくため息をついた。






「セイくん。」


ん?っと、彼が顔を向ける。

夜でも月明かりはわからないほど眩しい街だけど、そのおかげで彼の顔がはっきりと見える。


きれいな顔、してるんだ。


「気になった子、いた?」

「ん~、なんで?」

「いや、特に深い意味はないんだけど。・・・リカもヒトミも可愛かったでしょ?」

「うん、そうだね。」

「リカとかさ、女のあたしが見てもかわいいなって思うもん。マジオススメ。」



少し唐突な切り出しだったかな、と思ったけど、気にしなかった。


いつものことだし、失敗したこともなかったから。