甘ったるいくらいで


「あ、俺も、帰るわ。明日はやいし。」

・・・じゃあね、って手を振ろうとした、瞬間だった。

気がつけば、1対5だったのが2対4になってる。




「え~!セイくんいかないのぉ!?」

リカが声を上げた。どうやら、セイくん狙いだったらしい。



「うん、また誘ってよ。」

例の笑顔で、セイくんが返すと、リカもさすがに何もいえないようだった。


すっかりカップルのようになったダイスケくんとヒトミが、リカをせかす。


「じゃまた、ね。」


男なら一発で落ちちゃうような、甘え顔をして、リカはフミトくんを追っかけていった。




あたしは4人が見えなくなるまで、立っていた。


というより、動きかたがわからなかった。


こんなパターン、初めてだ。


「帰る?」

「え、うん。」


あたしとセイくんは駅に向かって歩き始めた。




月が、まん丸だ。