何か日本語でこんな会話するなんて夢にも思わなかった。それに日本語で話すの少し久しぶりだから上手く話せてるかな。
道具を中途半端に出していたけど、日本人に会えたという興奮から、もう絵を描く気にはなれなくなって片付けようとすると、凄い勢いで止められた。
『あなたが絵を描いてる姿見てみたいな』
「そんな見るほどのものじゃありませんから」
『じゃあ絵でも見せてくれない?』
「今下書き程度の絵しか持ってないんです。ごめんなさい」
『それでもいいから見せて?』
うん。とても困った。
下書きの絵はあまり見られたくない。ちゃんと完成して、私が納得した絵じゃないとあまり見せたくない。
嫌と言ってもこの人は良いと言うまで帰らないだろう。うん。大変だ。困った困った。
というか。
「(急に馴れ馴れしくなってきた気が…?)」

