『海の絵を描くんですか?』
突然背後から声をかけられた。普段この公園で話しかけられることなんてないから少し驚いた。というか、それ以上に日本語で話しかけられたことに凄く驚いた。
振り向けば、綺麗な顔立ちをした私と同い年くらいの男の人がいた。久しぶりの日本人に胸がドキドキする。
『すいません。こんなとこで日本人に会うなんて思ってなかったから、つい』
「あ、いえ」
確かにここは中心部から結構離れているから日本人と会うことはない。中心部でもそんな滅多に会うことないんだから余計そう思うだろう。
『観光客…ではなさそうですね。この辺りにお住まいなんですか?』
「いえ。家はパリなんですけど、最近アトリエに住んでて。そのアトリエがここから近いので」
『画家さんなんですね』
「はい、一応画家をやってます」

