9709㎞の恋







『…似合うと思って。だから買ってきた』





照れながら言った彼が凄くいとおしく感じた。さっきまでの生意気な態度とは全然違ってて、まるで小学生の男の子みたい。


その姿につい吹き出してしまった。






『笑うなよ』


「ふふ、ごめんなさい。でもありがとう。大切にします」


『本っ当燐は不器用だな』


『ちょっと黙ってください、先生』






そう言って櫻木さんを睨むけど、既に彼の頬は赤く染まっていて全然怖くなんかないし、寧ろ可愛く見える。






「よし。ご飯にしますか」






時計を見ればもう昼過ぎになっていた。櫻木さん達が来てもう1時間近く経った。






『そうだな。お腹も空いてきたな。燐手伝ってやれ』


『言われなくても』