9709㎞の恋







もう一回彼にお礼を言って櫻木さんの元に行った。櫻木さんからのこういうプレゼントは初めてだから凄く嬉しい。






「櫻木さん!ありがとうございます!凄く綺麗です!」


『あれ?私はお礼言われることはしてないよ。買ったのも選んだのも燐だし』


「…え?」


『もう先生空気呼んでくださいよ』






さっきまでいた部屋からではなくて、私の後ろから声が聞こえた。振り返れば彼はキッチンとさっきまでいた部屋境目の壁にすがって苦笑いしていた。





『燐。お前素直に自分が買ったって言えよ』





え?櫻木さんからのじゃなくて彼からのプレゼントだったの?


意味が分からないと彼の方を見ると、あーあ分かったよ、と言って髪をわしゃわしゃした。