9709㎞の恋







『いや悪いよ。来た道通れば大丈夫でしょ?』


「来た道より早く公園に着く道があるから。黙って私に送られてください」






そう言えば彼は一瞬驚いた顔をして、ありがとう、と言った。少し待っててください、と言って、帰りに買い物をするために大きなかごバッグを手に取る。



では行きましょうか、と彼のもとに行く。なんかデートみたいだな。






『これから通る道って近道?』


「近道って程ではないんですけど、車じゃ通れないんです」






あ、でも裏道みたいなものだから地元の人しか知らない道かな。あまり人通りが少ない道だから。



コンクリートではなく石を敷き詰めたように作られた道。昔の人が自らの手で作られた道は、私はとても好きだ。