こ、この人さりげなくプレゼントするって言ったよね?え?会うのって今日限りじゃないの?
そんな慌てる私を見て馬鹿にしたような笑みをしながら次にいくよと言った。なんかむかつく。
『完全に沸騰したあとのお湯を粉全体が湿る程度に少しずつ注いで30秒蒸らす。この蒸らしが、美味しさのポイントね』
「はい」
『それと、ドリッパーのふちに着いた粉は落とさないようにしてね。外側に注ぐと粉の表面の苦味が出やすく、薄いコーヒーになりやすいから。水は蛇口から出したばかりの新しい水を沸騰させてね』
それから2人で30秒声に出して数えた。その感じが、小学生の時湯船に浸かりながら数を数えて、その数になったらお風呂上がれるっていうのをよくやってたのに似てた。
『30秒経ったら、お湯を中心で小さく"の"の字を書くように注ぐ』

