七瀬さんじゃなくていいよ

「私も好きです、とかぁ？」
「それでいいじゃん」
うん、とジュリエは下を向く。
うつむいているんじゃない。
頬がさっきよりも赤く染まっている。
照れているんだ。
「割り箸は」
ふと、ジュリエが口を開いた。
今までとなんら脈絡のない言葉。
「割るためにある。青春は？」
私はジュリエの言葉に続けて、新しい質問を投げかける。
こんな意味不明な会話が成り立つんだ。
高校生って楽だよ。
「恋するためにある！」
語尾を跳ねさせると同時にジュリエ自身も勢いよく立ち上がる。