七瀬さんじゃなくていいよ

亜美はカバンを抱えた。
なんか、亜美だとサマになるんだよね、そういうかわいいそぶりが。
「先輩なんだから、もっと具体的になんかないのぉ？」
亜美は足をばたつかせてきいてくる。

ふと、一斉に街灯に光が宿る。
周りが明るくなると同時に、足元に影がおちた。
「思うようにってば。
亜美、いっぱい告られてんでしょ？
今まで通りにYesって言えばいいじゃん？」
少しいたずらっぽく笑ってみせる。
亜美はピンクの頬を膨らまして、唇を突き出す。
街灯に照らされて唇がつやつやと光る。
やっぱり、かわいいな。