今日、高嶺の花は恋をする。

「先輩。返してやってください」

突然、先輩の後ろから声がかかる。
その人物は連くんだった。

「あ?誰だてめぇ」
「聞こえませんでした? 返してやってください」
「チッ、てめぇ、さっきから…!」
先輩がキレかけた時、遠くから声が聞こえた。
「おぉう! 先ぱぁぁい! 空木にあまり言い過ぎない方がいいっすよぉ!!!!」
風露くんだ。
風露くんが先輩を押さえつけていたら
「一弥」
と、連くんが先輩を睨み付ける。
「え、」

「…しっかり押さえてろよ。」

その言葉を放った次の瞬間、ビュン、と。
先輩の顔の横に、連くんの足。

連くんは空手も柔道も合気道も、護身術だって習ってる。
すごく強い。かっこいい。

「あ…ぅぁ……」
「こっえー! 俺でもこわいっつーの!!!」
泡を吹いて倒れる先輩と、涙目で連くんに訴える風露くん。
「お、覚えてろよぉぉ!!!」

先輩の走っていく姿を見ていると、拍手が巻き起こった。
すると連くんは恥ずかしそうに
「……ども。」
とだけ言って、カバンと中身をしまい、返してくれた。
ペコリ、頭を下げると、連くんもペコリ、と頭を下げた。

「よし、かえろっか」
薊ちゃんに話しかけられる。
薊ちゃんの顔がにやけていた。
もう、薊ちゃんってば。という意味で目を細める。
薊ちゃんは気づいたらしく、へへへっ。と笑った。

帰ろう、家に。
また明日ね。学校。

また明日ね。連くん。

気づけば私の頬も少しだけ、緩んでいた。